ハンサムなクラウス・フォアマン

●黒いタートルネック

　録画しておいたBSの「サイドマンービートルズに愛された男クラウス・フォアマン」をようやく見る。
録画しているものがたくさんあるのだが、なかなか見る時間がない。夜中に見ようとするのだけど、５分で睡魔に襲われるのだ。グゥ〜
　クラウス・フォアマンはベーシストであり絵描きであり。ビートルズのハンブルグ時代（リンゴ・スターが入る以前）の友人だ。ビートルズ本を１冊でも読めばこのハンブルグ時代がとても重要であることがわかる。ジョン・レノンはアートに引きつけられる人生だった。クラウス（・ブアマンと昔は英語読みだった・・・途中リンゴ・スターが出てきた時にはやはりブアマンと呼びかけていた）とスチュ・サトクリフ（ジョンのリヴァプールからの親友だった）とアストリッド・キルヒア（カメラマン）というマッシュルームカットに黒づくめの現代アートをやっていた仲間たちと知り合うことで、不良っぽいリーゼントに革ジャンのスタイルから一歩も二歩も奥深いバンドになっていったのだ。このドキュメンタリーにもアストリットが出てきていた。スチュは若くして亡くなった。この３人の写真がなんともかっこよかった。
　この黒づくめの長髪スタイルというのは当時ヨーロッパで流行った実存主義のスタイルで、同時期のパリでは穴蔵酒場『タブー』が大流行。ヴィアンにサルトルにコクトーにマイルスにジュリエット・グレコが黒いタートルに実存ひげでジャズに狂っていたのでした。夜な夜なここではポエトリー・リーディングやらシュールな寸劇やセッションが行われ、アートな雰囲気ムンムンだった。（と、憧れを込めて書いております）
　こんな空気がハンブルグにもあったんでしょうね。この空気に触れてビートルズの面々は大きく飛躍したんでしょう。この３人はとってもハンサムでクラウスさんは今７０さいですが、それでももの静かで聡明そうでイイんでした。美術家の彼らの方が考え方が数段先を行っていた。音楽よりも美術は先を行っているとよく思う。
　
　クラウスさんは絵描きさんとベーシスト（マンフレッド・マンでも弾いていた）という肩書きで、ビートルズの「リボルバー」の当時斬新なジャケットイラスト（コラージュ）を制作しています。でも、そのあとはほとんどミュージシャンなんでした。で、グチャグチャなロッカーの生活の中にいて、それがうんざりしていたのだそうで、そこから家庭に戻り、絵描きの生活に戻った時には安らかな気分だったというようなことを言っていた。なーんか、とってもわかる・・・・。比べたら申し訳ないけれど、わたしも両方やっていて、どっちがどうと言えないのだけど絵を描いている時に前へ進んでいるような感じがしている。この部分がないとわたしは音楽はできないのではないか、と思っている。

　音楽は楽しく。
　そう、楽しい気分じゃなきゃできないのだ。


　でもって、余計な話だけれどわたしとしては大好きなラトルズの話をしないわけにはいかないのです・・・。このスチュの役をラトルズのビデオではこれも大好きなギタリスト、オリー・ハルソールが演じているのです。といっても言われなければわからないんだけど・・・・。ラトルズビデオの中ではジョージがコスプレ（ヅラをかぶってインタビュアーになっている）で登場している。クラウスも言っていたけれど、ジョージが一番気さくに仲良しになっていたらしい。パイソンのメンバーもそんなことを言っている。だから、ジョージの追悼コンサートではパイソンメンバー、そしてラトルズでもあるニール・イネスが出ているし、クラウス・フォアマンもベーシストとして出ていたのでした。

　番組ではドクター・ジョンも出てきていて嬉しかった。あとはヴァン・ダイク・パークスがオーバーオール着てかわいかったねー。