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ちょうど一週間前の水曜日は渋谷で「ツリー・オブ・ライフ」を見たのでありました。
実はあまり興味はなかったのだけど、ブルーウィロー(ウィローパターン)のコレクターのTARAさんから初日の日にメールをいただき、「きょう見に行ったら、食卓の食器がブルーウィローで、その中の絵を子どもにお話しているシーンがあるんですよ〜」と教えてもらったのでありやした。それは見ねば!! 昨年はジョニー・デップが帽子屋をやっていた「アリス.イン・ワンダーランド」でやはりウィローパターンのカップ&ソーサーを発見して小躍りしたんだっけ。英国の映画だけではなくアメリカの映画にも出てきて嬉しいな。 この映画いいなと思うところとそうでもないところとあって微妙だったかも。 負の方を言うと、あのアルタード・ステイツみたいな映像が長い。宇宙と人間と、永遠の家族のテーマを表しているのだろうけど、何度か出てくる内に、肝心の最後の方で寝てしまったではないか・・・。ちょうど最後の死んだ家族や知人もみんな出てきて(いたらしい)いたシーンが半分しか見えてなかったワタシ。 ラストシーンがそうゆうのはティム・バートンの「ビッグ・フィッシュ」とクストリッツアの「アンダーグラウンド」が思い出されます。「アンダーグラウンド」があまりにもすばらしいので、同じやり方をされてもどうしても冷めた目で見てしまうのよねえ・・・ その「アンダーグラウンド」が10月デジタルリマスターとやらで劇場で見られるので楽しみで仕方がない! さらに、負の感想は、ブラピもショーン・ペンも違うな〜みたいな・・・。ブラピはこないだのタランティーノからああゆう刈り上げスタイルがつづき、ブラピ好きなだけにこのスタイルじゃないブラピに早く戻って欲しいのよ。ブラピはまだしも、ショーン・ペンは必要だったのかしらん・・・・???疑問 負の反対は「正」だということを今知った。ので、文脈が変になった。 共鳴できるところ、とする。 それはやっぱり肉親への愛と理解。カインとアベルの例で言われる兄弟の関係。 ![]() ●父のことを 思い出したのだ、わたしも。子どもの頃から日記書きなので、思い出したのだ。 一番多感だった小学生から中学生になった頃、わたしは日記に随分「パパはわたしの事は大嫌いなんだ。パパはわたしよりもお姉ちゃんとお兄ちゃんの方が好きなんだ。そんな事はわかってるんだ。死んでしまえ。じゃなかったらわたしが死ぬ」みたいなことをよく書いていたのだ。こうゆうことはだれにでもあることだと思って数名にその話を大人になってからしたが、意外にもそうでもないようで、かえって驚いてしまったのだけど、映画はまさにそんな感じだった。 だからといって我が家はいつも愉快だった。母が楽しい人だからで、父の偏屈が緩和されていたのだ。 父の本棚にボードレールや太宰治の初版本が何冊かあるのを発見し、自分も読み始めた中学〜高校の時期に「そうか、子より親が大事、っていう考え方ってあるんだな」と、わかった。子どもは嫌でも血が通っているが親は他人同士だからな。等々 それからも、クラシック好きの父と姉は仲良しで、ロックを聞いていたわたしは「うるさい!」といつも文句を言われていた。わたしはクラシックもラテンもなんでも好きだから、それでも話はできるのだけど。 その頃お正月の挨拶に来た父の会社の若い人が父にジョン・コルトレーンの「バラード」を「是非ジャズも聞いてくださいよ。きっと好きになると思います」と言って置いていった事がある。 なんか凄くいいものが聞こえてくる!部屋の外でわたしは初めてモダンジャズのレコードを1枚通して聴いた。いいな、と思った。父もジャズは聴いていたが、グレン・ミラーやベニー・グッドマンのようなビッグバンドと、サッチモがほとんとで、オスカー・ピーターソンが1枚あるくらいだった。 「モダンジャズはどこがイイのかさっぱりわからんな」とその時父は言った。若い社員は残念そうに「そうですか?ぼくは好きだけどなあ、好きになってくれるといいなー」と言って、多分自分のレコードだったのだろうけど置いていったのだ。サラリーマンなのに髪がボサボサでちょっとわたし好みのカッコいい人だったので、わたしはこんなことするこの人は素敵な人だな、と思ったのだった。 父は結局全然このレコードを聞こうとしなかった。絶対にもう聞かないだろうと判断してわたしは勝手に自分の部屋に持っていってしまった。モダンジャズいいな。わたしは好きだな、と、そこからMJQを知り、チャーリー・パーカーやマル・ウォルドロン、山下洋輔なども聞くようになった。 それから20代になってサボテンを始めた時に、エリック・サティの「スポーツと嬉遊曲」をエレキでやろう〜、コレはエレキでやるとピアノよりずっとおもしろ〜い、とエレキギター練習していた頃。ピアノでもよく弾いていた。ライブがあるのでへたくそなギターを一日中練習していたわけで、ついに父が腹をたてた。 「そのお前がやってる曲は一体なんなんだ。ちっとも音楽としてイイと思えないんだが、なんでそんなのをやってるんだ。ベートーベンとか弾いてくれ!」 父は病気がちだったので5年働いては1年自宅療養の繰り返しだった。家にずっといるので嫌でもわたしのへたくそギターやピアノが耳に入ってしまうのだ。 サティの音楽をこうゆう人に説明するのはかなり難しい。そしてわたしと父は相性が悪いのだもの、理解してもらうことは無理だもの、と諦めていた。仕方ないのでサティを弾いたあとに隣りの部屋のベッドい寝ている父に申し訳程度の技術でベートーベンとかモーツアルトとか弾くことにした。ソナタまでしかわたしはできないけど。 その後父が勤続25周年だったかでヨーロッパ豪華旅行というご褒美をもらった(昔のサラリーマンは豪華だった)。その時父が「おまえはヨーロッパに詳しいから、どこで何をしたらイイか教えてくれ。お前の意見を信用してるから。おみやげも決めてくれ」と言ったので驚いた。わたしはやはり素直に嬉しくて、 「ウィーンでは絶対にオペラ見てね。予約しなきゃ駄目だよ。パリにいったらサルトルとボーヴォワールがいりびたってたカフェ・ドゥ・マゴに行ってお茶してね。フロールでもいいよ。イタリアに行ったら革製品がいいから手袋を買って来てね。イギリスにいったらわたしにタータンチェックの帽子を買ってね。」等々話した。父は几帳面にそれを手帖にメモし、本当にそれらのすべてをクリアしてくれたのだった!ブラボー この時に、もしかしたらわたしと父はまったく相性が悪いと思っていたけれど、本当は一番似ているのかもしれない。とわかったのだ。似ているから腹がたつ。でも、何を考えているかもわかっている。大人にならないとわからないものなのだ。 それからまた少したち病院についに入ってしまってからのこと、お見舞いに行くと父はホワイトボードを出した。 この時父は咽頭癌にかかり、今と違って声帯を残すという医療技術もなく、声帯をとってしまっていたので筆談になっていた。わたしに話しかけるということは元々無口だっただけにほとんど無かったのだけど、この時初めて手招きしてベッドサイドに呼びこう書いたのだ。 「お前が良く聞いていて演奏していたエリック・サティというのを最近よくラジオで聞いている。ようやくその良さがわかったよ。あれはいいな。おまえがなんでアレをやっていたのかやっとわかった。」と書いたのだ。 ビックリした。嬉しかった。でも照れる。だからひときわはしゃいで 「でしょ〜!やっとわかったか!」とわたしは答えた。 それから少しして父は56歳で亡くなった。わたしももう何年かしたらそのくらいになってしまう。 「ツリー・オブ・ライフ」は、わたしに父とのこれらのことを思い出させてくれた。 だから、どちらか?といえば「正」の映画なのだろう。
by eggdance
| 2011-08-31 22:11
| その他
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