きゅうりと真珠と花嫁

ポポタム「フルコース／ハンガリアンvol.1」開催中です。
あしたでラストとは・・・・早いなあ
今回わたしは３点＋小さめ１点で参加しています。その内の１点をご紹介します。

「きゅうりと真珠と花嫁」

何年か前、ザクロの絵を見ながらコピーライターのKさんが「千夜一夜物語」の話しをしてくれました。
その中の「物言う鳥」というお話を。
とある王様が、妃の意地悪な姉たちの陰謀によって、妃の生んだ赤ちゃんが犬や猫であると信じてしまった王様。
紆余曲折そのあとは長い物語りがありまして、別のところで育っていた３人の子どもたちの家にきた王様に、真珠の入ったきゅうりが供されます。「こんな料理があるのか！？真珠は食べ物ではないぞよ」と言う王様に対し、物言う鳥は「王様はお妃さまが犬や猫を生んだ、と簡単に信じたではありませんか」と王様を諭す・・・という話しです。

その時はきゅうりから真珠が出てくるというビジュアルだけを想像して、素敵だな〜、いつか絵にしたいものだなーとなんとなく思いながら、時々紙に鉛筆でそのイメージをスケッチしていたのでした。それから５年たって、さきごろ「スウェーデン民話名作集３」のゲラを読んでいたら、なんとなんと！まったく同じようなお話が出てきたのでありました！
民話というのは大陸で繋がっているということが良くわかります。そして植物や野菜、くだものも旅をするんですよねー
アラビアからスウェーデンへ。物語りと共にたべものも旅してきたんですね〜
このお話だけではなく、先日描いたグリム童話にしても、アイテムなどが少しづつ違ったお話が、ギリシャで、デンマークで、イギリスで、中国で、日本で、作られていったのですね〜

ザクロやオクラもヴィジュアルが好きなものなのですが、これらもアフリカ、中近東から生まれたもののようで、なぜかとても想像力を掻き立てます。

わたしの絵はきゅうりから真珠、というイメージだけを膨らませたものです。でも、この二つの物語りを読んでようやくわたしのオリジナルになることができた絵なのであります。
こうゆうイメージの旅がおもしろい。

野菜や果物は遠く旅をして形を変えていきます。子どものころ見ていた外国の絵本に出てくるスイカやかぼちゃやきゅうりは日本のものとは全然違う形でした。それらは大人になって漸くその意味がわかりました。
わたしの絵のきゅうりは、日本のとは違って、中近東あたりの太くてブツブツの無いものです。
きっと種も大きいのだろう、と想像して、真珠も大きくてそしてたくさん描きましたよん。

そしたらそれがウミガメの卵に見えてきて・・・・そしたらおめでたい感じがして・・・・そして花嫁になりました。

作品になるための時間はまちまちです。この絵のように５年かかって漸くシックリきたものもあれば、ひらめいて１日でできてしまうものもあります。

さて、スウェーデン民話名作集３、今月と来月はこれに集中です！１５点制作します。
お楽しみに〜

きょうもポポタムに向います。
１３時ころから遅くまでいる予定です。