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あかね画廊の個展が終ってもう10日が過ぎました。
またまた怒濤の日々で。やはり「寄る年並には勝てないねぇ〜〜」てなもんで、2日頑張ると3日目には力尽き爆睡、という繰り返しなのでありました。 そんなわけで、10日目にしてあらためて展覧会に来てくださったみなさまに御礼申し上げます。 そして、いつもブログやfb等々で見てくださっているみなさまにも感謝の気持ちを! ![]() ●わたしと版画との出会いの作品 さて、今回は1992年に制作した「リトペーパー」作品を数点出していました。 上の写真がその時のものです。押し入れから引っ張り出して飾ってみました。 リトペーパーというのは、簡易リトグラフで、リトグラフの制作過程が一つ二つ少なくできるとっても楽しいものでした。(もう廃番!残念) 1992年というのは、まだ立体制作をしていた頃で、新宿ミロードの10mのウィンドーの制作をしたり、二子多摩高島屋のウィンドーの制作をしたりしていた(どちらもバブル崩壊後なくなる)。87年頃に、鷹の台の松明堂ギャラリーオーナーの松本昭さん(松本清張のご長男なんだよね・・・)と何故かたまに会っていて、「ギャラリーには何が必要か」なる相談をされていた。画廊を作るなら「これからは音が出せなきゃ駄目ですね。それに映像ができるようにスクリーンと、それをかける壁」と強く答えていた。 というのも、その頃の立体作品はキネティックアートというもので、マツキヨ・デラックスに機械仕掛けを手伝ってもらって(小杉武久の美学校のクラスにいたから得意なのだ)平面作品に立体を取り付けて、センサーで音を鳴らしたり、回したり、水をたらしたりした作品を主に作っていたのと、バンド「サボテン」の第二期の頃で、「目覚める」という自主制作のセカンドアルバム(CD)を制作していた頃だったからなのだ。 ライブハウスしかバンド演奏をやる場所が当時は考えられなかった。今となってはもっとやれるところは増えているが、当時はギャラリーでやる、ということも全然頭になかった。 ただ、サボテンはオリジナル曲以外にエリック・サティの曲の完全エレキバンド演奏なんぞをずっとしていたので、よく「室内楽の夕べ」というタイトルのシリーズで小さいところでもやっていたわけで、ライブハウスにこだわりは元々なかったのであります。 また、最初の個展の時にはキネティックアートのほかに8ミリコマ撮りアニメを制作していて、これをモニターでリピートしてギャラリーで流していたのだけど、そのあとフィルム関係のイベントもあきらかに増えていたから、これからは映像の時代なんだろうな〜〜と感じていたわけです。もうちょっと大きくして見たい。プロジェクターとスクリーンがあった方がこれからのギャラリーはいい、と確信していたのでした。 松本昭さんが作ったギャラリーはまさにそうゆうギャラリーにできあがって、わたしも声をかけていただきこのギャラリーでやらせていただいたのでした。松本昭さんのこのギャラリーは2011年5月を持って閉館しましたが、その後音楽専門の松明堂ホールへと発展したのでした。ギャラリー時代もコンサートはやっていて、わたしもつのだたかしさんのリュートを聞きにいったりしました。 そこで話し戻りますと、1992年の個展の時にスクリーンにサティの「スポーツと気晴らし」全曲につけた絵を映し出してサボテンで演奏しよう!ということになり、立体やアクリル画のほかに、急遽21曲分の絵を描かねばならず、リトペーパーでガンガンと制作をしたのでした。これが版画をやることになるキッカケです。(写真の上の段のものがその一部です。下の2枚は同時期に制作したもの) その後細い線画をやるためにリトグラフではなくて銅版画があっているだろう、と思い、自己流でやり始めました。が、自分ではなかなか思うようにはいかず、結局教えてもらいに版画工房に入ることになったのでした。 そして今に至る。 今回思い出して出したこのリトペーパー作品は、わたしにとってはとても新鮮でした。ボールペンで描画できるので、サラサラと自由で勢いのある線が描けていました。 銅版画は(下絵無しで勢いのある作家さんは勿論たくさんいますが)わたしの場合はほとんどが下絵をまあまあしっかりしているので、自由な線というよりは考えられた線になっているのですねえ。または、考えられた自由な線です。 そんなわけで、初心に帰るというのか、線を描きたい!と思って始めた銅版画の最初の気持ちを今回思い出し、ウキウキすることができました。 ●絵を買うということ 写真の下の2枚を買ってくださったMさんがfbで書いてくれたことにハッとしました。 「作家の作品を所有するというのは、ある意味で、その作家の人生の一部を共有するってことなのかも知れないなぁと、しみじみと感じた」 わたしもたまに絵を買います。 それから、好きな作家さんのは個展を楽しみにしていて、出来る限り見にでかけます。そうすると、その作家の歴史が見えてくるんですねえ。結婚したり、子どもができたり、近しい人を亡くしたり、大きなターニングポイントがあったり、誰かに影響を受けたり、いろんな出来事によって作品が変化していく様子がつづけて見ていると良くわかります。その中の1枚を買う・・・。それはその作家のその時の人生を共有することになるんですねえ。 それと同時に、それを買った時の自分もその作品に重ね合わされて記憶されて行くんですねー そんなことを考えると、壮大なものを背負ってる感じがして何故か熱い気持ちになってしまいます。 ああ、真摯な気持ちで作ってきて良かった〜〜! そんなことも思います。 ●変化 だから、変化するということは当たり前のことで、個展をして一番言われたとしたらショックな言葉は 「相変わらずですねえ」とか「いつも通りで〜」とか・・・。幸い言われたことはないです! もしも「相変わらずの作風ですねえ。いつもと同じ雰囲気で」なんて言われたら(その人は褒めてるつもり) もうおしまいだ!!!! こんなに日々の生活が変化しているのだもの、作品が変わらないなんてのはどうかしてる。 ●わたしも絵を買いました。 「小島悳次郎の型染め、版染め」の素晴らしい展覧会が沼袋のシルクラブであり、いさんででかけました。 ![]() 染め物作家の友人小島秀子さんのご主人(も作家)のお父様です。 わたしは型染めについては数年前まではまったく知らなかったのですが、ポポタムでの 2011年の版画のグループ展「BOOK METRO」の時に型染め作家さんも参加していて、その時に何度も制作過程の話しを聞き、染め物も版画と同じことだったのだ〜と初めて気づかされたのでした。 その後、2012年の丸の内の三菱一号館美術館での、広く海外に渡った日本古来の「型紙」展を見に行き、だんだん型染めについてわかるようになってきたのでした。 版画のおもしろさをさらに感じると共に、西洋に憧れていたという小島さんの作風がわたしは好きでした。シルクラブの1階は型染めの着物が多数。その中には「グレゴリオ聖歌」の中世の楽譜の型染め着物もあり、着物は全然着てないけれど、こんな着物だったら「着たい!!!」「欲しい!!」と欲求が募っていったのでした。 地下に行くと、音楽関連部屋となっていて、グレゴリオ聖歌のほかに、シューベルトの「冬の旅」シリーズもありました。掛け軸になっていたグレゴリオ聖歌は特にすばらしくて、しばらく見惚れていた。 1階の隅に行ってみたら、なんとグレゴリオ聖歌はなかったけれど、シューベルトの「鴉」が販売されているではないか!う〜ん、ちょっとお高いけれど、自分の版画だって数万円するではないか・・・・それを買ってくださる方たちがいつもいるではないか・・・・・欲しい・・・ ということをフと考えながら、1枚買う決心をして、たまたま現れた友人と楽しく時間をかけてどれにするか選ぶ楽しい作業に突入したのでした。 ああ、これは楽しいではないか! そうなんです。この選んでいるひと時は至福の時なんです! わたしの個展でも、ギャラリーで何度も数点の作品を見比べて悩む姿をたびたび見かけますが、そんな時わたしはできるだけ声をかけないようにしています。 今回もそんなうつくしい風景をわたしは見させていただきました。 長い時間たってから「こんにちは」と声をかけてみる。するとその方は 「この絵と、あちらの絵を、凄く悩んでいるのです。」と教えてくれる。 わたしは何も言わない。 別の方と話す。その間もその方は二つの絵の間を何度も往復してジックリ見ていました。 それからおもむろに意を決して 「決めました!コレで」と。 小島さんの型染め作品を選んでいる時に、その時のことを思い出していた。 買いたい!買うんだ! と決めたあとの選んでいる時間のなんと楽しいことか!その楽しい時間の邪魔をしてはいけないのだ、作家は。 アーでもないコーでもないと言いながら、悩んで悩んで自分で結論を出す。 大事に持って帰る。またしばらく眺める。ワインなんか飲んじゃう。 絵を買うということはこうゆうことなのね。 その人の人生を共有し、また選んだ時の自分の記憶も塗込めていく。 全然高いと思わなかった。 わたしの絵を買った方もきっと値段ではなかったと思う。そう考えると、絵を描くことが大事なのではなく、絵を描いているわたしが真摯に生きていることこそ大事なのだということがわかってくるのだ。 わたしの一部を連れて帰るのだから。 ありがとう!
by eggdance
| 2013-05-09 00:33
| 作品/art
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Comments(2)
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